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their daily life 4

their daily life 4 an extra of "BODY&SOUL" - the strongest -

静かな宵。

久しぶりに夜の予定がぽっかり空いたために、少し遅めにはなったが夕食も自宅でとり。
自室のソファー、男はとてもくつろいだ時間を過ごしていた・・・・。

「ぽーにょぽーにょぽにょ さっかなのこーっ♪」

穏やかな空気が能天気かつ調子っ外れな歌に破られて、伊達組若頭・伊達征士は、手にしていた夕刊を取り落とした。

(なっ・・・何だ・・・・?)

普段、狼狽えるということなどまず有り得ない彼ではあるが、この時ばかりは狼狽えた・・かも知れない。
部屋の外から聞こえてきた素っ頓狂なその歌は、最近公開されたアニメ映画の主題歌だったのだが、征士の知識の中にそのデータは存在しなかった。
そして。
その音律の微妙な外れ具合が、実際の“ホンモノ”と非常に似通っていて、実はとても上手く歌えているのだが、そんな事は征士の知ったことではなく。
且つ、全く必要のないデータであった。
「・・・・・・・・・・」
図らずも空いてしまった手で頭を抱える。
歌の音程が外れているだとか、声の主が後二ヶ月もすれば征士の歳に追いつく年齢だとか、実は一応医者であるとか、何を隠そう大学の准教授であるとか。
いったい何処から正せば良いのか・・・問題点が多すぎて、いっそう征士を悩ませる。
その間にも、魚の子の出身地を語る歌は、ぺたぺた・・という足音と共に近づいて来ていた。
カチャッっと何の躊躇いもなく、ここ離れのリビングドアを開けて入って来るのは、征士自身を除けば外一名しか存在しない。
「・・・当麻・・・・・」
「ん?」
常に無く脱力した声で呼ぶ従兄を振り返った当麻の表情は、ものの見事に無邪気である。
がっくりと肩を落とした従兄の姿が自分のせいだとは、露ほども思っていないらしい。
手にしたチョコレートコーティングの一口アイスを一つ、ひょいと口に入れる。
「お前・・・・・」
顔を見て尚更力の抜けた征士は言い澱んだが、なんとか先を続ける。
「・・・・・・外では歌うなよ・・・?」
・・・・しかし、何とも頼りない忠告だ。
だが、無自覚は何者にも勝るらしい。
「え、なんで?」
今更ココに理由が必要か?! ─── との突っ込みは、残念ながらキャスト不足により何処からも入らなかった。
なんとなく恨みがましそうな目で見上げてくる従兄の口に、当麻はアイスを一つ運んでやりながら、(的外れな事を)ちらっと考える。
(今日、俺が解剖中に歌っちまったの・・誰か征士にチクったのかな・・・?)と。
そう。
遺体の腹部が見事な太鼓腹だったのが悪かった。
メスで開きながら、ついつい今話題のこの歌の最後のフレーズを口ずさんでしまい、解剖室に集っていた面々の顰蹙をほんの少し(?)買ってしまったのだ。
(まぁ、死んでんだから、“元気な子”はねェよな〜)
ソコじゃ無いから!! ─── という突っ込みも、入らないのを良いことに、一人勝手な反省をしてみたり・・・。
「・・・・医師免許、取り上げられるぞ・・・・・」
勿論、既に外で ─── しかも(遺体も含めた)ヨソ様の前でTPOも考えずにご披露されてしまっているとは思わない若頭は、立場に自覚を促す意味でようやっと口にした諫言だったのだが。
「んー・・平気。」
彼の従弟サマは、にんまり笑って尚続ける。
「運転免許じゃねぇからさ。一旦取ったら、そう簡単には取り上げられねーの」
安心して♥ とでも言いたげな語調だ。
・・・・・全く安心できない・・・・。
「しかも、俺の患者は、『こんな医者じゃ不安だ!』なんて、文句言う奴は一人もいねぇ。」
言えない、の間違いだろう・・・。
「死人に口無しか・・・・」
やっと返した言葉にも、「そう。」とキッパリ肯かれて、征士はぐったりと全身ソファへ沈み込んだ。

結論。

やはり(また)、外でも歌うらしい。彼は。


いや、絶対ウチのお嬢は歌うと思って・・・さ。この歌。
しかし、サイテーだな・・・お嬢。
自分で書いといて、ナンだけど。

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